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認知症になるということは、最近のことを覚えられないということ

 ご利用者さんと一緒に生活していると、まるでタイムトラベラーだと思うことがありますしかも、未来にはいかない、過去と現在を行ったり来たりといった具合です。そこには、不思議なきすけワールドがあります。

 

 私たちの記憶は、ひとつひとつの点がつながり、線や面となって記憶されますが、認知症は、最近の記憶ほど、点のままで消え去ってしまいます。そのため、しっかり残っている記憶と消え去る現在が交錯し、混乱しやすい状態ということが言えます。

 

 私も今まで生きてきて、2度ほど深酒し、次の日、記憶がない状態になったことがあります。変なことや迷惑をかけたりしなかったのか、とても心配になりました。しかし、認知症になると、それが、日常茶飯事に起こるわけです。

 

 下の絵は、認知症の方が77歳でアルツハイマーになってから描いた自画像になります。実によく今の心境を表していると思いませんか?私は、初めて見た時の驚きを今でも覚えています。

 「暗闇の中、はっきり見えるのは目の前だけ。後ろを振り返ってもよく見えず、先に光はところどころ見えるものの、下りカーブで見当をつけるのも難しい…。…不安。」と伝わってきました。

 

 何を一番にサポートしなければならないか、今までの関わりは良かったのか?!改めて、師匠に教わりました。

 

その人の現在は最後に残った記憶

 前回、①認知症になるということは、最近のことを覚えられないということ について、お話ししました。つまり、私たちとは、記憶の失い方が逆になっているという見方ができます。これを、記憶の逆行性喪失といいますが、下図を見てください。健康な人は、過去の記憶程、不確かになり、最近のことをより覚えています。ところが、認知症は、最近の出来事がこぼれ落ちていきます。しかも、確かに残っている記憶にしがみつきながら、今を生きているのです。
 
 認知症は、脳の病気ですが、治療法は、他の病気とは大きく異なります。つまり、手術や薬では治りません。薬はありますが、進行を遅らせる薬が主流のため、治療薬ではありません。
 
 キーワードは、「②その人の現在は最後に残った記憶です。」つまり、現在のことを正しく理解させることが大事なのではなく、より良く生活できる環境を整えることがポイントです。説得よりも納得してもらえる環境がとてもとてもとても大切です。
 
 ご飯を食べた後でも記憶として残らなければ、その人の現在は、ご飯を食べる前なのです。ですから、「ごめんなさい。お腹すきましたね。もうすぐご飯が炊きあがりますから、待ってくださいね」と声をかけ、お茶でいっぷくできる環境づくりが、重要です。
 
 「何を言ってるの?今食べたばかりでしょ!」等説得すると火に油を注ぐ結果となります。

ご本人が気持ちに折り合いをつけられるよう寄り添うということ

 前回、②その人の現在は最後に残った記憶 について、お話ししました。
今回は、認知症は脳の病気で、脳がどんなことになっているのかについてお伝えします。
 
 私は、子どもの頃、人の気持ちは心臓()にあると思っていました。気持ちに反応してドキドキするからです。皆さんもそう思いませんでしたか?
 しかし、実際には、下図のとおり、脳が気持ちだけでなく、体もコントロールしています。その脳自体が萎縮して小さくなったり、詰まったり、出血したりで細胞が機能しなくなるのです。とてもデリケートな場所ですので手術で治すことも容易でありません。これが、一般の病気とは大きく異なる点です。
 
 では、どうしたら良いのでしょうか?ひとつの答えが「ご本人が自分の気持ちに折り合いをつけるのに寄り添う」ことにあります。認知症になったからと言って、感情まで消え去るわけではありません。むしろ不安感から、感情が鋭くなることもあります。
 
 自分らしい生活は、認知症になっても、自分自身で決めていく姿勢が大事であり、それを尊重する環境づくりが大切です。
 

環境に働きかける

 前回まで認知症の症状等について、お話ししました。今回は、ちょぴっと実践編に入ります。
 
 喜助では、今年度のテーマとして、①できないこと・嫌なことはしない、させない②できること・やりたいことを奪わない③自信と安心がもてる生活環境づくり に取り組んでいます。そのため、各事業所ともに「調理を通して生活を取り戻す(生活リハビリ)」サポートに力を入れています。
 
 しかし、生活リハビリが大切だとわかっていても、お一人おひとりの状態が違いますので、簡単にはいきません。そのため、休むことなく、知恵と工夫が求められます。
 
 例えば、下記の方の場合、皆さんなら、どんなサポートを行いますか? 

ADLは、ほぼ自立。認知症(中度)。家事仕事ができる、やりたいと思っている。
 一方、便の拭き取りが不十分で、時に弄便あり(不潔行為あり)。手も中々、洗いません。

 ご利用者の生活を支えるのに、正解がひとつだとは限りません。一緒に考え、私たちにアドバイスを下さい。※喜助の取組紹介は、次回にて
 
 介護のプロに求められるのは、ただ単に身の回りのお世話をすることではなく、「生活を取り戻していく好循環」をつくることにあります。絶えず、「生活を喪失していく悪循環」になってはいないか、検証しなければなりません。
 

環境に働きかける-2

 前回、④環境に働きかける ということについて、お話ししました。その中で、下記のケースを紹介しました。グッドアイディアがありましたでしょうか?……名前があった方が、親しみがありますので、仮に「喜助はな子さん」とします。
 
 …喜助はな子さんへのサポート…

ADLは、ほぼ自立。認知症(中度)。家事仕事ができる、やりたいと思っている。
 一方、便の拭き取りが不十分で、時に弄便あり(不潔行為あり)。
 手を洗うように勧めても大丈夫だと言います。

 
 ポイントを整理してみると
 ①家事仕事ができる、やりたいと思っていることがある。
 ②排泄の後始末が、うまくいかず、不衛生である。手を洗ってくれない。
 
 この①と②のアンバランスをどうしたもんじゃろの~。ですよね。
 ①を優先すると、衛生面で良いのか?大丈夫なのか?
 ②を優先するとスピーチロックをかけ、生活を喪失していく悪循環に?となります。
 
 そこで私は、生活リハビリという考え方をします。リハビリには準備が必要です!
 はな子さんが、やりたいと思っている家事仕事が、例えば調理の下準備だとします。すぐにお願いすると、口に入る食材ですので、衛生上よくありません。そもそも生活する上でも不衛生です。そのため、雑巾の手洗いをお願いします。場合によっては、手洗い専用の食器を準備し、食器洗いをお願いします。これで、やりがいと手洗いを合体させた生活リハビリとなります。
 するとどうでしょう!一石五鳥になるかもしれません。
 
 ①やりたいことができ、満足。結果BPSDなし
 ②自分の居場所、生活の張りをつくり安心、安定
 ③自分は汚れていないと手洗いに応じてもらえなかったのが、逆に衛生的になる。
 ④係わる人も、ご本人も笑顔になる。
 ⑤生活を取り戻していく好循環に入る。
 
 生活リハビリのサポートは、自分らしい人生(生活)に近づけるのではないかと思います。
 
合資会社喜助
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